東京昆虫館のブログ

日々の昆虫関係の出来事を綴っています

オオミノガ幼虫の乾燥標本

2022年12月に東京都23区内で採集したオオミノガ幼虫。飼育していたものの2か月くらいで死んでしまったので、2月に乾燥標本の作製に初挑戦した。専用の道具は用意できなかったので、簡易な方法でのチャレンジ。

 

まず、胸部から腹部末端に向かって指で体を圧迫していき、内臓を押し出す。内容物が詰まった消化管が出てくることを覚悟していたが、意外にも出てきたのは蛆虫だった。おそらく天敵の寄生蠅なのだろう。細々と生き残った個体にも容赦しない、恐ろしいハエだ。

 

その後、ピペットを腹端から差し込んで空気を吹き込み、体を膨らませる。最初のうちは空気を入れ終わると体がすぐにしぼんでしまうが、30分ほど冬の乾いた室内で何度も空気を吹き込んでいくと体内が徐々に乾燥していき、だんだんと形を保てるようになっていく。このあたりで作業を中断し、冷蔵庫に保管。

 

翌日に冷蔵庫から取り出して、再び空気を吹き込む。昨日よりも乾燥が進んで、体はパンパンに膨らむことはない代わりに、大きくしぼむこともない。30分ほど続けて、ある程度形が整ったところで整形を終了し、変形を防ぐため枯れたススキの茎を刺して、乾燥機へ。

 

あれから約2か月。ススキの茎に針を刺し、回転しないように接着剤で固定。正式なラベルをつけて完成。乾燥過程で体は上下に少しつぶれたが、証拠標本としては十分な出来。ミノにも針を刺し、ラベルをつけた。