東京昆虫館のブログ

日々の昆虫関係の出来事を綴っています

2023-01-01から1年間の記事一覧

煮干しの骨

さきほどヤマトオサムシダマシの飼育容器を覗いたら、煮干しが骨だけになっていた。投入したのは確か2週間ほど前。先週、幼虫がかじりついている姿も一瞬だけ見た。 容器の底の表面が土の塊ばかりで、細かい粒子は下に沈んでいる。幼虫が増えて活動が盛んに…

更新:奥多摩カミキリ目録Web版(イボタサビカミキリ)

月刊むし635号に下記の報文が掲載されたため、目録を更新。283種目はイボタサビカミキリ。 採集したという一報が届いた時は中国出張中。暖かい地域のカミキリと思っていたので結構驚いた。帰国を待って標本を送ってもらい、共著で発表する運びとなった。 東…

ヤマトオサムシダマシ近況20231205

2頭の飼育を初めてから1年余り。10月頃から2回目の繁殖シーズンを迎え、土の上には常に卵が見える。 早く孵化した幼虫は中齢に育っており、容器の壁面に沿ってトンネルもみられる。 エサは変わらず米ぬかと鰹節。主に米ぬかは幼虫、鰹節は成虫が食べてい…

奥多摩:消えゆくアザミ

2022年6月の奥多摩アサカミキリ探索の採集記を公開しました。体調不良もあって中身はほとんどなし。この翌年2023年の探索は中国出張により叶わず。 tokyoinsects.web.fc2.com

農工祭2023

今日は昼に子どもたちを連れて母校の学園祭へ。腹ごしらえの後、本館2階の昆虫研究会の展示会場へ向かう。 小さな教室に所狭しと並ぶ標本箱とたくさんのお客さん。甲虫、蝶、蛾などいろいろな昆虫が展示されており、トンボの標本箱があるのが印象的だった。…

セダカの生息確認2023

11月3日に久しぶりの奥多摩へ。今回は息子と一緒。目的はセダカコブヤハズカミキリの生息確認で、谷筋の薄い登山道を進み、枯葉つき枯枝を調べていく。 状態が良い枯葉は少なかったが、なんとか生息は確認できた。 その後、谷底から山頂に登って紅葉を楽しむ…

イナゴ採り2023

土曜日は毎年恒例のイナゴ採り。昼から成田市内のいつもの場所へ。 最初のポイントは昨年よりも劇的に数が減っていた。最も個体数が多かった稲田がハス田に変わっていたこともあるが、畦の草刈りが例年より念入りに行われてイナゴの餌が少ないことの方が影響…

産卵開始

彼岸を過ぎて急に涼しくなったからか、ヤマトオサムシダマシの産卵が始まった。土の上に産み付けられているのを先週発見。 卵が見つかるのは霧吹きで加湿しているエリアと水場の近くに集中している。乾燥に強いとはいえ、卵や若齢幼虫にはある程度の水分が必…

4ヵ月間の世話

中国出張中のヤマトオサムシダマシの世話は息子にお願いしていた。 帰宅当日の飼育容器 2頭とも元気だ。 後日、容器の土をふるいにかけてみると幼虫の姿も。 この他、出発前にすでに老熟幼虫になっていたものは蛹化容器を作って投入しておいたが、蛹か幼虫…

中国大連から帰還

5月中旬から中国(遼寧省大連市)に出張していて、先週ようやく帰国。まだ日常に戻ってはいないものの、現地の写真を少しだけ。 大黑山(遼寧省大連市金州区) 大連市の最高峰(663m)。東京でいえば高尾山のような存在で、大連市民なら一度は訪れるという…

奥多摩産リンゴカミキリ

さきほど材箱をみたところ、奥多摩から持ち帰ったハナモモの枝からリンゴカミキリが羽化脱出していた。奥多摩では自己初採集。 昨年冬に幼虫が穿孔していることを確認したが管理が大変なのでそのまま残しておき、今年3月に改めて持ってきたものだ。 すぐに…

オオミノガ幼虫の乾燥標本

2022年12月に東京都23区内で採集したオオミノガ幼虫。飼育していたものの2か月くらいで死んでしまったので、2月に乾燥標本の作製に初挑戦した。専用の道具は用意できなかったので、簡易な方法でのチャレンジ。 まず、胸部から腹部末端に向かって指で体を圧…

老熟幼虫の出現

数日前からフタを開けるたびに老熟幼虫の姿を目撃してはいたが、潜るのが速くて撮影はうまくいっていなかった。今日は動きが鈍かったので、なんとかその姿を捕らえた。 蛹化するのはもう少し腹が膨れてからのはずなので、次の週末には蛹化容器を準備する予定…

冬越し3回:コナラシギゾウムシ

先週、飼育容器を覗いたら力尽きたコナラシギゾウムシ成虫を発見。幼虫が入ったドングリを保管していたもので、春先の高温で早くも出てきたようだ。成虫の左側には脱出孔が見える。 注目すべきは、このドングリを採集したのが2020年11月ということ。羽化脱出…

鰹節

産卵確認から4か月半、幼虫は順調に育っている。最近与えている鰹節はかなり好きなようで、すぐになくなる。 4月14日22時 鰹節を与えた直後 4月15日9時 半日経った時点の様子。すでに半分くらい無くなっている。 4月16日9時 1日半後の様子。ほぼ食い尽くさ…

寄贈:EXIMIA(東京農工大学昆虫研究会会誌)

3月末に寄贈雑誌3冊を国会図書館へ発送し、その受領書が今日届いた。 今回送ったのはEXIMIAの第1号、3号、4号。今年になってオークションで売られていたのを落札したものだ。発行部数は把握していないが、東京都練馬区立稲荷山図書館以外ではまずお目に…

更新:奥多摩カミキリ目録Web版(ハイイロヤハズカミキリ)

月刊むし626号に下記の報文が掲載されたため、目録を更新。採集されたという情報を昨年知ったのだが、その際にはちょっと驚いた。 1種増えて、282種。あと何種か増える余地はある。 宮川哲男, 2023. 東京都奥多摩町で得たハイイロヤハズカミキリ. 月刊むし, …

奥多摩探索20230328

2023年3月28日、年度末の荒波の中で今年初の奥多摩へ。天気が心配だったが、現地に着く頃には雨も止んでいた。奥多摩駅付近では桜も咲いており、すでに春。 今日の目的は新たな採集ポイントの下見で、4時間ほどの滞在時間の多くを徒歩移動に費やした。終盤で…

予約「鹿児島県のカミキリムシ」

先日、こんな本が出ることを知った。「幼生期の生活史を中心に解説する」ということで早速出版社のサイトを訪れ、直接予約した。このような本が今後も出版されてほしいので、そのためには買うことが一番の応援になるはず。 幼虫の生態というと「図説長野県の…

再展翅(スズメバチ)

最近はスズメバチの再展翅に取り組んでいる。甲虫の軟化と同じく、2%に調整したオスバン液に一晩漬けこむ。脚も翅も動くようになったところで、翅を畳んだり、脚をコンパクトに整形したり、腹部が縮んでいれば腹端をつまんで少し引っ張って伸ばしたり。 整形…

幼虫を確認

産卵を確認してから1か月半あまり。飼育容器の壁面に沿って小さな坑道が認められるようになった。これは幼虫が育っている証拠。ただし、幼虫の姿はなかなか確認できない。 そこで、幼虫を確実に見るために、米ぬかで小さな山を作った。餌を求めて幼虫がそこ…

再展足(シマアメンボ)

先週末の相手はシマアメンボ。今回は自宅での作業なので、水道水に食器用洗剤をごく少量垂らしたものに2時間ほど漬けて軟化。軟らかくなったところで真水に漬けて洗剤を落とす。針を使って、中脚と後脚を後方に伸ばしたコンパクトな形に整形。 整形前の姿は…

日本産カミキリムシ大図鑑(II)

発送の連絡があったものの都合がつかず、昨晩ようやく受け取り。 まだじっくり読んでいないものの、とりあえず東京都と奥多摩に関連する記録(標本データ)を確認してメモ。いずれ出す予定の「奥多摩カミキリ目録2020年版(補遺)」のため。 東京都の記録 フ…

再展足(オキナワキボシカミキリ)

今週の相手はオキナワキボシカミキリ。2%に薄めたオスバン液に半日漬けた後で、左右に広がってしまった触角を針で矯正して真っ直ぐに。触角の先の方を丸めてしまえばもう少しコンパクトになるが、好みの問題でそれはやらなかった。 整形前の状態は下記の通…

再展足(ミズカマキリ)

一昨年くらいから昔作った標本を作り直している。理由は、よりコンパクトな標本にして収納スペースを節約したいから。 左は山梨県産、右は東京都府中市産。 再展足する前はこんな状態だった。一時期、翅を開いた標本を作るのに夢中だった頃のもの。

籾殻の山

毎年イナゴ採りに訪れる場所には籾殻[もみがら]の山がある。こんな場所も採集ポイントになるということを、昨年訪れた際に知った。 山の中に置かれた枯木をひっくり返して見てみると、オカダンゴムシに混じって無数の小さな虫がしがみついていた。 フタオビ…

鋸山

2023年1月9日 この日は千葉県南部の鋸山へ。子供3人で登る予定だったが、一番下の子は出発直前にへそを曲げて断念。最寄りの登山口までは電車、そこからは歩き。 3連休ということもあって観光客は多い。 登っている時の様子。息子の方は先週の登山で自信を…

煮干し

ヤマトオサムシダマシの餌として最近は煮干しも与えている。観察していると、腹や尾びれが最初に食われる。大あごで挟めるところからかじっていくのかもしれない。 飼育容器を覗くたびに煮干しの位置が変わっており、時々大きく移動している。くわえたまま移…

景信山

昨日(1月2日)は息子とともに八王子市の景信山へ。小仏バス停の少し先の登山口から登り始める。息子はほぼ初めての山登りということで、嬉々としてどんどん登っていく。 40分ほどで山頂に到着。事前情報のとおり東斜面は開けており、関東平野を一望。 名物…

産卵

大晦日の夜、餌交換のため容器を覗いたところ、餌皿の下に卵を発見。産卵したメスはこの秋に羽化したと推定されるので、成熟は思っていたよりも早いようだ。