東京昆虫館のブログ

日々の昆虫関係の出来事を綴っています

中国大連から帰還

5月中旬から中国(遼寧省大連市)に出張していて、先週ようやく帰国。まだ日常に戻ってはいないものの、現地の写真を少しだけ。

 

大黑山(遼寧省大連市金州区)

大連市の最高峰(663m)。東京でいえば高尾山のような存在で、大連市民なら一度は訪れるという。この山麓に雨の日でも炎天下でも毎週欠かさず通って、昆虫観察。

 

アサカミキリ 麻天牛 Thyestilla gebleri

ホストとなるアサは現地ではごくありふれた草で、街中の空き地でも生えていることがあるくらい。虫自体もごく普通に見られ、産卵行動も2回観察(アサとヨモギ)。絶滅が危惧される日本ではなかなかできない経験。

 

クビアカツヤカミキリ 桃红颈天牛 Aromia bungii

日本ではサクラ類への穿孔が問題になっているが、現地ではアンズに好んで穿孔しているようだった(そもそもサクラ類が少ない。サクランボの果樹園周辺でもよく見かけた)。また、メスはニレ類やカエデ類の樹液でよく見られ、カナブンを追い払う光景もみられた。

 

ツヤハダゴマダラカミキリ 光肩星天牛 Anoplophora glabripennis

ニレ類でごく普通に見られた。他の樹種ではほとんどいない。日本ではまだ見たことがなく、本場で先に観察することとなった。

 

シナカブリモドキ 拉步甲 Carabus (Coptolabrus) lafossei

舗装道路の端に堆積した落葉に潜んでいることが多かった。昼間でも活動しているらしく、6月頃には道路を横切る姿もちらほら。畑や果樹園の近くなど、やや開けた環境で良く見た。

 

コウガオサムシ 麻步甲 Carabus (Cathaicus) brandti

大雨の翌日、舗装道路の端の落葉の下に潜んでいた。右の個体がおそらく摂食中。発達した大あごでカタツムリ類の殻を砕いて食べるという。観察した場所は小型のカタツムリ類の密度がすさまじかった。